2014上半期新作映画ベスト!(男の映画編!)
なんで「男の映画編!」なんてタイトルをつけたのかと言うと、単純にポスターが男(しかもちょっとむさ苦しい)ばかりだったからですね。ほら、ディカプリオもウルフ・オブ・ウォールストリートに関しては、ちょっと脂っこいむさい感じするじゃないですか。はい。てことで後編です。
ウルフ・オブ・ウォールストリート
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』 予告編 - YouTube
ふぉおおおお!!!と終始叫びたくなるような映画でした。御年70歳のおじいちゃんが作ったとは思えない作品。マーティン・スコセッシ監督、あなた若返ってますよ!『グッド・フェローズ』に並ぶくらいの大傑作。いや、それを超える大傑作だと思います。3時間ずっとハイテンションなドラッグムービー。金、女、ドラッグ、金、金、金!てな感じで、ディカプリオ演じるジョーダン・ベルフォートは金儲けに邁進します。この人にとっちゃ「金儲け=生」なんですね。ドラッグで意識朦朧としながら車を運転するシーンから、ジョナ・ヒルとヘナヘナな状態で喧嘩するまで、椅子から転がり落ちるんじゃないかと思うくらい爆笑しました。なんと実話。原作はもっとひどい(ほんとかなあw)と噂なので、こちらも読んでみたいと思っております。
ウルフ・オブ・ウォールストリート 上 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: ジョーダン・ベルフォート,酒井泰介
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/11/08
- メディア: 文庫
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ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金
日本未公開、DVDスルーとなってしまった作品。こういう映画はどうやったら映画館で上映してくれるんでしょうか。需要あると思うんだけどな。。これとは別に『ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日』と『俺たちニュースキャスター 史上最低!?の視聴率バトルinニューヨーク』は最高に面白かったんですけどね。なぜこんなにもコメディ映画を冷遇するのか。。てか、なんだよこの邦題。「俺たち〜」とか「史上最低の〜」とか「最凶〜」とか、いい加減寒いから!ったく。
ちょいと口が悪くなってしまいました、さーせん。まあとにかく、マイケル・ベイ監督というビッグネームでも公開されないなんて悲しすぎます!とは言え、確かに本作はド派手なアクション、爆発いっぱいの大作ばかりを撮っている監督のイメージからすると、珍しく小規模。マイアミを舞台に、実話をもとにした犯罪を描いています。筋トレしか脳のない筋肉バカが自己啓発セミナーで「俺はやらない男(Don'ter)ではなく、やる男(Doer)になる!」と一念発起。そして何をDoするかと言うと、ムカつく金持ちを誘拐して身代金をふんだくる、というバカっぷり。いや、バカですけど、これ実話って怖いよアメリカ。GTA(ちょっぴりヴァイオレンスな箱庭型ゲーム)が好きな人は、絶対好きだと思います。ドウェイン・ジョンソンが警察に追われて海に飛び込んで逃げるシーンがありますが、実は僕経験あるんですよ(ゲームで)。
新しき世界
筋肉バカトリオの次は、韓国の極悪トップ3。いや、見てよこの顔。わっるううう!予告にもありますが『インファナル・アフェア』+『ゴッドファーザー』みたいな話です。ほんとにクライマックスは初めてゴッドファーザーを見たとき同様、鳥肌立ちました。どこから褒めれば良いのか、、重厚なストーリー、アクション、本当にこういう人がいるとしか思えないキャラクターの説得力、どれも一級品ですよ。上映中、わりと序盤の方から尿意に襲われまして、ひたすら尿意と戦っていたんですが、だんだん尿意が引っ込んでいったんです。それだけ面白くて。尿意が引くってよっぼどだと思うんですよ。警察とヤクザの間で板挟みの男、義兄弟とのブロマンス、残酷描写の数々。思い返してみても最高です。
こういうヤクザ映画が今日本にないなーと。北野武だけじゃなくて、三池崇とか園子温とかにこっち方面の映画をガンガン作って欲しいですね。そもそもこういう顔面力のある役者が少ないような気がしますが。。
プリズナーズ
娘をさらわれてしまった父親(ヒュー・ジャックマン)が、一番怪しい容疑者をとっつかまえて監禁。拷問してなんとか手がかりを探ろうとしますが、容疑者は知的障害があり、なかなか喋ってくれません。拷問は更にエスカレート。観客は善悪の境界を揺さぶられっぱなし。拷問される容疑者役を、殴られ役なら右に出る者はいないと有名なポール・ダノが演じています。今回も最高の殴られっぷりでした。事件を追う警官役のジェイク・ギレンホールもかっこよかったなー。
脚本が本当によく練られていて、伏線を丁寧に回収しつつ、意味深な物や言葉が散りばめられていて、見応えたっぷりの上質なサスペンスでした。衝撃のクライマックスの向こう側に、タイトル「プリズナーズ(囚われた者達)」の本当の意味が分かります。宗教的な要素が多分に含まれているため、見終わった後はネットで解説を探して読むと、より理解が深まると思います。
↓のブログとか分かりやすかったですよ。
her/世界でひとつの彼女
映画『her/世界でひとつの彼女』予告編 - YouTube
近未来、AI(人工知能)を持つOSに恋してしまう男のお話。要はiPhoneのSiriの発展系です。SFかと思いきや、全然違いました。これは、恋愛や人間関係についての映画です。OSとは言え人間と同じ思考回路を持ってしまっているので、もはや人です。恋してしまうのも無理ありません。ぶっちゃけOSに人間の感情なんてあったら100%使いませんよ!最後の結末は「もしOSが人間の感情を持ったら」について、一応この映画なりの回答を出しているんですが、これも人に置き換えられちゃうんですよね。2人以上の人に恋してしまうことは現代社会において、ある意味自然なことだし、かと言って、それが受け入れられるかと言うと、それはそれでちと難しい。OSだからとかあまり関係ないんですよ。
とにかく切ねえシーンが多くて、しくしく泣きながら見てました。女優陣が素晴らしく、特にエイミー・アダムスが良かったですね。あんな女友達欲しい。あと、画像を見て分かる通り、暖色を使ったおしゃれな近未来も素敵でした。Arcade Fireが担当した音楽も素晴らしい。そして、Karen Oの主題歌は聴くだけで泣けます。
Karen O - The Moon Song - YouTube
はい、ということでベスト10でしたー。でもね、これ以外にも良い映画がたくさんあって、一応ベスト20まで考えてるんです。全部ベスト10に入れたいくらい好きだったので、もう10本も紹介します。それではさようなら。
11. ポール・ヴァーホーヴェン/トリック
12. ブルージャスミン
13. インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌
14. ホドロフスキーのDUNE
15. ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日
16. X-MEN : フューチャー&パスト
17. アメインジング・スパイダーマン2
18. ドラッグ・ウォー 毒戦
19. ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う
20. インシディアス第2章
ウルフ・オブ・ウォールストリート ブルーレイ+DVDセット(初回限定DVD特典ディスク付き)(3枚組) [Blu-ray]
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2014上半期新作映画ベスト!(前編)
このブログ始めた当初は月1くらいで面白かった映画について書こうと思ってたんですが、億劫で億劫でこの有様でございます。あっという間に半年経ちました。言い訳になるかもしれませんが、見るのに忙しかったんです。せめて半年単位でも振り返ろうと、現時点でのベスト10をやります。
対象:2014年に見た新作映画(DVDスルー新作、劇場で見れなかった新作DVD含む)
計51本の中から、10本選びました。
こんなに見てると10本選ぶのがものすごく難しい。あれも良かったこれも良かったってなりますね。今年は良い映画が多かったと思います。あ、順位はその日によって変わるものなので、特にありません。順不同です。長くなったので、まずは5本!
300 〈スリーハンドレッド〉 〜帝国の進撃〜
『300 <スリーハンドレッド> ~帝国の進撃~』予告編 - YouTube
前作のザック・スナイダーが監督しないということで、あまり期待していなかったのですが、いやー全然面白かった!むしろ前作より好きかもしれません。「奇人」「変人」「狂人」そして「首チョンパ」と「おっぱい」。これら僕が映画で見たい要素が全部詰まっていて、かつ、とてつもなくかっこいい!ザック・スナイダーの演出をちゃんと受け継いで、さらに昇華されていたと思います。そして、なんと言ってもエヴァ・グリーン!アルテミシアという女将軍を演じているのですが、これがとにかく素晴らしい!失敗した部下は容赦なく首を刎ねる(文字通りの意味で)殺人マシーン!そして、容赦なくおっぱいをさらけ出す!この人が見れただけで元取れました。見所はバトルセックスです。え、なにそれって?バトルセックスです!だってバトルセックスとしか言いようがないような、国を賭けて戦うようにセックスする描写があるんです。どうですか?見たくなってきませんか?船と馬もかっこよかったよ!
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ついでに前作も大傑作ですよ。
LEGO® ムービー
The LEGO® Movie - Official Main Trailer [HD] - YouTube
好きすぎて3回見ました。ブログにも書いたから、特にもう語ることはございません。とにかく騙されたと思って見てよ!楽しい楽しいと思って見てたら、終わる頃には号泣。メガネまで濡れた!人が何かを創造することの素晴らしさを、こういう形で提示してくると思ってもみなかった。フィル・ロード&クリストファー・ミラー監督だから、面白い映画には間違いないだろうと思っていたら、予想をはるかに超える大傑作でした。あっぱれ!
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グランド・ブダペスト・ホテル
これを見てからウェス・アンダーソンにはまってしまって、過去作全部見ました。ユリイカのウェス・アンダーソン特集も読み、しばらくウェス・アンダーソン漬けに。その上でもう一回見てやっぱりこの映画は素晴らしいと再確認。
完璧としか言いようがない画面デザイン。まるでウェス・アンダーソンの作った箱庭の中に入ってしまったかのような感覚でした。猛スピードで展開されるスラップスティックなアクションに、オフビートなギャグ。ウェス・アンダーソン映画でしか感じることのできない独特のリズムにのめり込んで、あっという間にクライマックス。一転して物語は暗いお話に。いや、暗いというかセピア色というか。退廃的というか郷愁を感じさせるというか諸行無常感というか、とにかく簡単に日本語では表現できない感情が押し寄せます。2回目見たときは、この結末を知っているからか、アガサ(シアーシャ・ローナン)が登場した時点で泣いてしまいましたね。基本的には楽しい映画ですが、背景には後に紹介するアクト・オブ・キリングにも通ずるテーマが横たわってたりします。不思議な映画ですね、ほんと。
ウェス・アンダーソンの様式美が今後どのような進化を遂げるのか、今から次回作が超楽しみです!インスパイアされたというシュテファン・ツヴァイクの本も読んでみたいなー。
アクト・オブ・キリング
ブログにも書きましたが、とにかく衝撃的なドキュメンタリー。悪夢のような、シュールな画が頭から離れません。インドネシアで起きた大虐殺。加害者は今なお英雄として暮らしています。これを見た後だと、戦争とか虐殺とか、全然人ごとじゃないなって思います。今平和に暮らしてたって、未来がどうなるかなんて誰にも分からない。時代の大きな流れに飲まれたそのとき、被害者側にいるのか、加害者側にいるのか、誰にも分からない。日本も同じです。憲法変えようが変えまいが「この先ずっと絶対平和だ」なんて保証はどこにもないわけで。言うなれば、この世界は殺戮の歴史の上に成り立っているわけで。どんな殺戮の歴史があるかと言えば、、詳しくは300 〈スリーハンドレッド〉をご覧になってみて下さい。
オンリー・ゴッド
アクト・オブ・キリングに続き、こちらもインドネシアが舞台。一昨年の『ザ・レイド』も最高に面白かったし、今インドネシアがいろんな意味で熱い!
難解な作品で賛否両論、というか断然否が多いと思われる本作。僕は大好きです!ニコラス・ウィンディング・レフィン監督には一生ついていく所存でございます。
上映中はとめどなく脳汁が溢れ出てきて、終始満面の笑みで鑑賞。とにかく映像が素晴らしい。僕は画力の強い作品に惹かれるんだなー、と改めて思いました。見どころは、カラオケ好きな小っちゃいおじちゃんが神のごとく強く、調子乗った変態ライアン・ゴズリングをめっためたにボコるところですね。どうですか?見たくなってきませんか?これを見て「意味わからん」と言う人にブルース・リー大先生のありがたいお言葉を送ろう。「Don't think ! FEEL !!」
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第7回爆音映画祭 感想まとめ(その2)
第7回爆音映画祭の感想日記、第2弾でござい。どんだけ遅筆なんでしょう。
5月18日
ターミネーター
テレビで見たことがあるような気がしていたが、どうやら見たことなかったらしい。「こんな話だっけ?」という感じだった。僕が物心ついたときにテレビでやっていたのは『ターミネーター2』の方だったようだ。シュワちゃんの名台詞「I'll be back.」も「こんなシーンで言ってたのか!」と驚いた。台詞ばかりが有名になって、内容を知っている人は意外と少ないのではないだろうか。
最初の未来での戦闘シーン、耳に刺さるような爆音。今回の爆音映画祭でもトップレベルなんじゃないかというくらい、大きい音に感じた。一瞬たりとも飽きることのない怒涛の展開にハラハラドキドキさせられっぱなし。ターミネーターのメカの造形もかっこよく、さすがはジェームズ・キャメロン。巨匠となった監督の初期作品はどれもかっこいいと思う。低予算で思い通りにならないことばかりのはずだが、そんな逆境をはねとばす、才能とエネルギーに満ちあふれている。
5月24日
ゆらゆら帝国 2009.04.26LIVE @日比谷野外大音楽堂
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爆音映画祭ではライブ映像作品も上映される。今回見たのは、ゆらゆら帝国。一度はライブを観ておきたかったが、観られないまま解散してしまったバンドだ。
さすが爆音上映。ライブハウスさながらの腹に来る重低音。ライブ疑似体験として申し分ない体験だった。ただ、ライブを座って観る経験がないので、ゆらゆら帝国の心地よい音楽についつい、うとうとしてしまった。しかし『夜行性の生き物3匹』でおめめぱっちり。終盤にさしかかると、もくもくと弾き続ける亀川千代とは対照的に、坂本慎太郎の動きがどんどん激しくなっていく。荒ぶる坂本。躍動する坂本。音もうねりにうねっていた。
映像も素晴らしく、ゆらゆら帝国の音楽をよーく知っている人じゃないと撮れないようなカメラワーク。なんと監督はモテキを撮る前の大根仁だった。なっとく。
デス・プルーフ in グラインドハウス
こちらも映画館でずっと見たかった映画である。この映画は上映後必ずと言っていいほど、拍手喝采が巻き起こるとの噂を聞いていたからだ。終盤の盛り上がりと、衝撃のラストから、確かに拍手が巻き起こるのも無理ない内容だ。タランティーノ映画特有のだらだらとした会話、その極北がこの映画であるとしばしば言われ、中には退屈と感じる人もいるかもしれない。しかしよく会話を聞いてみて欲しい。だらだらしてるだけに聞こえる会話はストーリー上必然である。小さな伏線の積み重ねが終盤の盛り上がりと拍手喝采を産むのだ。
さあ、爆音上映ではどうだったか。起きた。大拍手が起きた。「THE END」の文字が現れるとほぼ同時に。あー、みんなこの時を待ってたのね、と不思議な一体感が生まれ映画の興奮と混ざりあう。至福!!心から生きてて良かったと思いました。
5月25日
愛のむきだし
この映画、4時間ある。しかし体感時間は1時間半くらい。映画の面白い要素を全部詰め込んじゃったんじゃないかと思えるくらい面白い場面の連続で、あっという間に時間が過ぎる。アクション、ギャグ、宗教、エロ、グロ、愛、愛、愛!!!登場人物はみんな愛を求めるキチ○イだ。むきだしの純愛映画である。
今回の爆音上映は「怒濤」という言葉がしっくりくる。上映開始から1時間経って出るタイトルにはいつも興奮させられるが、爆音でいつもの何倍もの脳汁が溢れ出た。「ゴゴゴゴゴゴゴ」という重低音が爆音で強調され、まさに波か、地震か、とにかく天災に飲み込まれるような体験をした。家で見ているだけでは気付けなかった音だ。 押し寄せる巨大な波に飲み込まれるように、むきだしの愛に溺れてしまったようだ。
ファントム・オブ・パラダイス
『オペラ座の怪人』×『ファウスト』なロックミュージカル。個人的オールタイムベスト10の中にいつも入れるくらい好きな作品。スプリットスクリーンを駆使したデ・パルマカットはいつ見ても痺れる。そして何より、この作品の醍醐味は音楽だ。劇中で悪役を演じているポール・ウィリアムズが主に作曲している。曲も歌詞もめちゃくちゃいいし、なんといってもライブ感が凄まじい。大きなスクリーンに爆音で上映されると、ほんとにライブを見ている気になった。特にビーフのライブシーンには圧倒させられた。今回改めて思ったのは「ビーフかわいそう」である。なんにも悪いことしてないのにあんなことに…不憫だ。音楽を楽しんでいるとあっという間に狂乱のクライマックス。この作品にここまで惹かれるのはこのクライマックスがあってこそだ。言葉にできない感情が押し寄せてきて、間髪入れずに、突き放すようなエンディングテーマ『The Hell of It』が流れる。ほんとにどうしようもない気持ちになるが、同時に清々しい。ほんとになんと伝えて良いか分からない。ほんとに。
何の取り柄もなく 人に好かれないなら 死んでしまえ
悪い事は言わない 生きたところで負け犬
死ねば音楽ぐらいは残る お前が死ねばみんな喜ぶ
だらだらといつまでも生き続けるより 思い切りよく燃え尽きよう
Phantom of the Paradise - Paul Williams - The Hell ...
ロッキー・ホラー・ショー(パフォーマンス付き)
僕のラストバウスとなったのはこの作品。DVDは何回も見たが、それではこの映画を体験したことにならない。この映画は劇場で「参加」して初めて体験したことになるとのこと。ずっと体験したかった映画だ。知らない人には何のことだかさっぱりかもしれないが、これは世界初の「観客参加型」映画である。キャッチーなロック音楽に、突っ込みどころ満載なゆるーい内容(観客は実際にスクリーンに向かって野次を飛ばす)。しかし、ただ楽しいだけではない何かがこの映画にはある。「夢見てちゃダメ、夢になりなさい」このパンチラインに象徴されるように、夢になった気になれるし、明日からも夢になろうっていう気になる。
上映前にこんなお楽しみセットが売っていた。
こんなグッズを駆使して大騒ぎするわけだ。劇中の結婚式のライスシャワーに合わせて米をまき散らしたり、お気に入りのキャラが登場したらクラッカーを鳴らしたり、紙吹雪をまいたり、やりたい放題。初参加の人はヴァージンと呼ばれ罵られたりするが、一緒に踊ったりするうちにロッキー・ホラー・ショーの虜だ。次からはコスプレして参加したくなる(僕も次は何か簡単なコスプレをしようと思っている)。とにかく体験しなきゃこの面白さは分からない。この機会にヴァージンを捨てれて本当に良かった。
最後はこんな風にステージにあがって皆で踊る。くっそ簡単なおどりなので誰でも踊れます。
Time Warp - Rocky Horror Picture Show - YouTube
さて、これほどの映画体験を与えてくれた吉祥寺バウスシアターがついに閉館となった。今や映画館はシネコンが主流となり、ミニシアターが続々と閉館に追い込まれている。地方はもちろん、東京までも閉館のニュースが相次いでいる。僕は映画は映画館で見てこそ真に楽しめると思っている。なぜなら、映画は家のテレビで見るために作られていないからだ。今回の爆音映画祭では、今まで自宅で鑑賞してきた大好きな映画たちを大きなスクリーンで見て、爆音で聴いて、多くの新たな発見をすることができた。他の観客と一緒になって笑い、涙し、拍手する空間がそこにあった。こんな素晴らしい空間を根絶やしにしてはダメだと思った。まして、爆音上映という世界的にも例がない企画をやってきた吉祥寺バウスシアターが経営難で潰れるなんて、なんて世知辛い世の中なんだ。
この貴重な文化を絶やさないようにと、現在、署名運動が起きている。署名を武蔵野市に提出し、市から助成費をいただきたいというものだ。映画館で映画を見るのが大好きな人たちはぜひ署名してもらいたい。
Top of Baus on Baus~吉祥寺バウスシアター再生へ向けて
http://bausonbaus.s2.weblife.me/index.html
第7回爆音映画祭 感想まとめ(その1)
ここ数週間、毎週のように吉祥寺バウスシアターに通っていた。吉祥寺バウスシアターが5月31日で閉館するということで「THE LAST BAUS さよならバウスシアター、最後の宴」という映画祭が1ヶ月以上にわたり催されていたからだ。過去に上映された話題作、問題作、爆音上映、毎日好きな映画に見たい映画が目白押し。僕は爆音上映を主に鑑賞した。爆音上映はその名の通り、爆音で映画を上映する。吉祥寺バウス発祥のそれは、誰も聴いたことのない音量で、誰も体験したことのない映画体験を与えてくれる。世界に類を見ない上映会だ。
スクリーンの両端にこのような特大スピーカーがどかんと置いてある。ここからライブハウスさながらの音量で爆音が飛び出す。
初めて爆音上映を体験したのは昨年、『AKIRA デジタルリマスター版』だった。
正直なめていた。最初の一音「ドゥーーーーン!」という音で度肝をぬかれた。爆音て、ここまでか、と。音楽が好きで様々なライブに行き、爆音、轟音には慣れている(マイブラとかモグワイとかで)つもりでいたが、映画館でこんな音が鳴るなんて思ってもみなかった。『AKIRA』は、映像はもちろん、音楽もまた素晴らしいということにあらためて気付かされた。効果音や台詞までもが極限まで研ぎすまされている。ただ音がでかいだけでなく、作品一つ一つに爆音調整なる作業を行い、ベストな「爆音」状態を提供してくれる。自宅での鑑賞では絶対に気がつかない何かを発見できるのが、爆音上映の醍醐味だ。
吉祥寺バウスシアター最後の爆音映画祭で鑑賞した映画の短評を書き留めておくことにする。またいつか鑑賞できる日が来ることを願って。
4月29日
オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ
見るのは2回目。ジム・ジャームッシュ監督のヴァンパイア映画。ジム・ジャームッシュがヴァンパイア映画を撮るとこうなるよねっていう期待を裏切らない、いや、期待通りすぎて、むしろ期待以上!自分でも何を言っているのかわからないが、とにかくジム・ジャームッシュ好きにはたまらない映画である。
とにかく音楽が素晴らしい、まさしく「爆音向き」な映画と言えるだろう。ジョゼフ・ヴァン・ヴィセムというジム・ジャームッシュとアルバム出したりしてる現代音楽家が作曲している。ヴァンパイアが生きてきた何世紀もの歴史を感じさせるような、重厚でオリエンタルな音楽。それを爆音で浴びることができる、至福の時。
キャストも素晴らしく、トム・ヒドルストン、ティルダ・スウィントン、ミア・ワシコウスカのヴァンパイアっぷりがたまない。ああああミア・ワシコウスカに血吸われてえええ!!おっと、失礼しました。
5月10日
バットマン
バットマン映画と言えば、今やクリストファー・ノーラン版の『ダークナイト』が最高傑作という風潮になっているが、馬鹿野郎!ティム・バートン版をなめんなよ!いや、もちろんダークナイトは僕も大好きですが、ティム・バートン版も素晴らしいんですよ。なんといってもジャック・ニコルソン版のジョーカー!このジョーカーのキチ○イっぷりが恐ろしい。爆音上映になると、その映画の持つ狂気性、暴力性がより際立つ傾向にあるが、このジョーカーも恐ろしさが倍増していた。プリンスの主題歌も爆音で聞けて大満足。
バットマン・リターンズ
バットマンに続いて、2作目『バットマン・リターンズ』。僕はバットマン映画の中で、この『バットマン・リターンズ』が一番好きだ。ティム・バートンの映画の中でも一番だと思っている。2人のヴィラン、ペンギンとキャットウーマンが登場するが、この2人の生き様(死に様)がもう悲しくて悲しくて…。思わず涙が溢れてしまう。両親を殺されたバットマン。奇形に生まれ、親に捨てられたペンギン。男性主義社会に揉まれ、疲弊し、上司に殺されてしまうキャットウーマン。悲しい過去を持つ3人は互いに惹かれ合いながら、それぞれの敵に挑みつづける。観れば観る程、奥深い映画だ。
この作品を語りだすと止まらなくなってしまうので、これ以上の感想は割愛。高橋ヨシキ氏の著書『暗黒映画入門 悪魔が憐れむ歌』に超ためになる『バットマン・リターンズ』解説があるので、興味のある方はぜひ。キャットウーマンの表紙が目印。名著です。
ブルーベルベット
デヴィッド・リンチの作品は難解だと思われがちだ。しかし、本作は純粋無垢の青年がとある事件に深入りすることで、この世の暗部を知ることになる、というお話。簡単に言っちゃえばそれだけ。それだけなんだけど、スクリーンからムンムンと色気が漂うような、ムンムンと匂いが漂ってくるような、そういう不思議な魔力を持った映画でもある。初めて映画館で観て、この映画の持つ力に圧倒された。
むきだしの欲望、暴力。それを一身に体現しているのが、デニス・ホッパー扮するひたすら暴力的な男フランクだ。この男、次の瞬間にどんな暴力が飛んでくるのか分からない。拳か、言葉か、性的虐待か、何をしでかすのか分からない恐怖。この理不尽極まりない男に主人公が連れ回されるとき、僕は一緒になっておびえていた。「この人は完全に別の次元を生きているような気がする」というような、相手の考えが全く分からないような恐怖を体験したことはないだろうか?爆音上映でその恐怖は倍増する。下手なホラー映画より全然怖い。僕たちは主人公と一緒に、グロテスクなこの世の暗部へと連れて行かれ、迷い込んでしまう。美しい芝生の下には害虫が蠢いているのだ。ああ素晴らしきこの世界。
ファイト・クラブ
上映前、一番前の席を確保した僕は非常に緊張していた。というのも、『ファイト・クラブ』は僕にとっての生涯ベスト級の映画だからだ。初めて鑑賞した際、映画に殴られたかのような衝撃を受けた。劇中の『ファイト・クラブ』のメンバーのように、こてんぱんに打ちのめされるのと同時に生を実感し、「何も恐れることはない」という気になった。しかし終盤、そんな気持ちになった自分をあざ笑うかのような展開が待っている。これほどまでに感情を揺さぶられた映画は初めてだった。
爆音上映では、ブラッド・ピット演じるタイラー・ダーデンの、カリスマ性溢れる名言たちが爆音でぶっ飛んでくる。
「この世で1番強くて頭の良い連中、だが可能性の目がむしり取られている。ほとんどの人間がガソリンスタンドの店員か、ウエイターだ。もしくは会社の奴隷。広告を見ちゃ車や服が欲しくなる。嫌な仕事をして、要りもしない車や服を買わされるわけだ。俺たちは歴史のはざまで生まれ、生きる目標も場所もない。新たな世界大戦も大恐慌もない。今あるのは魂の戦争。毎日の生活が大恐慌。テレビにこうそそのかされる、いつか自分は金持ちかスーパースターかロックスターだって。だが違う。少しずつ現実を知り、とうとう頭がキレた!」
「職業がなんだ?財産がなんて関係無い。車も関係ない。財布の中身もそのクソッタレなブランドも関係無い。お前らは歌って踊るだけのこの世のクズだ」
「ウジ虫どもうぬぼれるな!お前らは美しくもなければ特別なもんでもない。他と同様朽ち果てて消えるだけの有機物質だ」
僕たちはこれらの言葉に救われる。そしてこれからも救われるだろう。ずっとファイトクラブの一員になった気で生きていくだろう。
今回の爆音上映で一番衝撃だったのは、主人公が自らを銃で撃ち抜く場面だ。初鑑賞の際、殴られたと感じたこの映画に、今度は銃で撃ち抜かれてしまった。そしてクライマックス、この世で一番美しい世界の終わりが待っている。その時にはきっと、ピクシーズの『Where Is My Mind ?』が流れていることだろう。
Pixies - Where Is My Mind - YouTube
その2はまた今度!
1000人殺したおじいちゃん - アクト・オブ・キリング
この写真を見てもらいたい。
(C)Final Cut for Real Aps, Piraya Film AS and Novaya Zemlya LTD, 2012
孫を抱き笑顔の好々爺。どこにでもいるおじいちゃん。このアンワル氏が他の人と違うのは、1000人もの人を殺めた過去があるということだ。
1965年9月30日、インドネシアでクーデター未遂事件が起こる。この事件以降、インドネシア初代大統領スカルノ氏(デヴィ夫人の夫ね)は失脚し、スハルト氏に政権交代する。実はその裏で未曾有の大虐殺が行われていたのだ。殺された人の数は100万とも200万とも言われ、ターゲットとなったのは共産主義(と思われる)罪のない人々。農民や華僑というだけで殺された人も多くいる。虐殺を行ったのは、政府や軍ではなく、プレマン(freemanの意)と呼ばれるチンピラやヤクザ。写真のアンワル氏は虐殺の加害者として1000人殺したと言われている。それほどまでの虐殺を西側諸国は黙認した。日本も例外ではない。
1000人も人を殺したのだから、罪を償うべきだろうと思われるかもしれない。しかし、現地では英雄と尊敬される存在だ。「共産主義=悪」を倒した人だから。虐殺の加害者で、英雄とされる彼らに「自分のしたことを映画にしてみませんか?自分のした殺人を演じてみませんか?」と持ちかけ、完成したドキュメンタリー映画が「アクト・オブ・キリング」だ。
恐ろしいほど、笑える映画です。
聞いただけでげんなりするような重い映画と思われるかもしれない。しかし、目の前で繰り広げられる「アクト・オブ・キリング(殺しを演じる)」はシュールで滑稽で思わず笑ってしまうのだ。映画やアニメでのブラックコメディは個人的には凄く大好きな手法で、この映画も例外ではなく、作り手も意図的に笑かそうとして作っている。演技に慣れていないおっさん達の熱演、やたら女装したがるお腹の出たおっさん、過剰な特殊メイク、思わず吹き出してしまう。しかし、ふとした時に「あれ?笑って良いんだっけ?」となる。なぜなら彼らは加害者で、昔起きた大虐殺を誇らしげに演じ、目の前で繰り広げられていたことをリアルに体験したのだ。拷問、尋問、殺害方法。やっていることはとにかく身震いするほど恐ろしい。恐ろしい、笑っちゃう、恐ろしい、笑っちゃう、となって何が何だか分からなくなってくる。
加害者から見た大虐殺
虐殺を描いた映画は被害者側の視点で語られることがほとんどだ。このドキュメンタリーも最初はそのように作られる予定だった。しかし、被害者は一切話したがらないし、政府からの圧力もあり映画にならなかった。「アクト・オブ・キリング」には被害者がほとんど出てこない。加害者の証言がほとんど。そしていろんな加害者が登場する。自分のやったことに罪悪感を感じていない人、自分のやったことを客観的に受け止め「そういう時代だったからしょうがない。」「他の国だってやってる。」「良いか悪いかは勝った方が決めること。」とおっしゃる人。主人公とも言えるアンワル氏は、自分のやったことを誇らしげに思っている、ように見える。しかし、よく悪夢にうなされ、殺人を演じているうちに、悪夢の回数が次第に増えていく。
人ごとじゃねえ
悪夢が増えていき、アンワル氏にこの映画の撮影が何らかの心境の変化を与えていることが映し出されている。この映画にはアンワル氏をはじめ、一般的には「超悪い人」とされる人が多く登場するが、なんというか親近感が湧いてしまう。こういう人、身近にいそうだなーって。アンワル氏も1000人殺した人とは見た目ではとても分からない。孫を大事にする良いおじいちゃんだ。観客は「悪」とは何か分からなくなってしまう。「悪」とはそういうものだ。1000人殺したおじいちゃんと自分は関係ないと思っているかもしれないが、大間違いだ。もし、そういう時代に自分がいたらどうだろう。同じ立場にいたらどうだろう。人を殺してしまうのだろうか。「暴力」や「悪」についての映画は数多くあれど、ここまでありのままを見せた映画はないだろう。
ANONYMOUS
エンドロールに更なる驚きが待っていた。「ANONYMOUS(匿名希望)」のオンパレード。「アクト・オブ・キリング」のヤバさを物語っていた。共同監督ですら「ANONYMOUS」だ。命懸けで作ったといっても全く過言ではない。アメリカ人監督のジョシュア・オッペンハイマーはもうインドネシアに行けないだろう。
インドネシアの歴史なんか知らなくても全然大丈夫な映画です。映画史に残る大傑作であることは間違いないでしょう。この衝撃はどんなに言葉を並べても、見た人にしか伝わらないと思います。おすすめです。
Everything is AWESOME!!! - LEGO® ムービー
このタイトル、別に映画に感動した勢いで覚えたての英語を使って発狂しているわけではない。「LEGO® ムービー」の主題歌の曲名だ。
Everything Is AWESOME!!! -- The LEGO® Movie ...
この主題歌をバックに、「LEGO® ムービー」の世界が眼前に広がったとき、思わず涙した。上映開始10分も経っていないのに。CGではあるが、何もかもがLEGOブロックでできている。建物はもちろん、山、海、雲、炎、煙、何もかもがLEGOブロックだ。そしてそこで生活しているミニフィグ達は完全に生きている。よくぞここまで緻密にLEGO世界を構築したものだとひたすら感動した。このヴィジュアルにはある種、狂気じみたものさえ感じる。この感覚はフィル・ロード&クリストファー・ミラー監督の長編デビュー作「くもりときどきミートミートボール」にも感じた。
フィル・ロード&クリストファー・ミラー
「くもりときどきミートボール」は食べ物が空から降ってきてさあ大変!というお話(超要約しました)の大好きな3Dアニメだ。この映画でも、食べ物が降ってくる世界が非常にカラフル。カラフルというか、極彩色、サイケデリック。このヴィジュアルのまま、非常にスピーディーな話運び。しかもブラックジョークを大量にぶち込んでいて、息つく暇がない。終始、超ハイテンションで駆け抜ける。まさに映像ドラッグである(※あくまで子供向けアニメです)。「LEGO® ムービー」も同じ調子だ。しかし、動きが普通のアニメとは違い、LEGOが動いているということをストップモーション風に表現しているため、チャカチャカチャカチャカと騒がしく絵が動く分、こっちの方がドラッギーに感じる。この疾走感は一度味わうとヤミツキだ。また、ジョークも子供向けというより大人向けなところがある。ハズシの効いたオフビートなギャグ、ブラックなジョーク。子供は笑っていないのに、一緒についてきた大人が吹き出している、という場面が何回かあった。また、本作ではLEGOあるあるもふんだんに盛り込んでいる、らしい。僕は子供の頃、LEGOなんて買ってもらえなかった(微妙に高いんだよね)のでよく分からないのが悔しいところである。フィル・ロード&クリストファー・ミラー監督はどの作品もこれらの特徴が見られるので、過去作を見たことない人はぜひ「くもりときどきミートボール」を見て欲しい。(「21ジャンプストリート」も超おすすめだよお!)
あんなキャラからこんなキャラまで
本作品の見所の一つが、LEGOにしかできないであろう、会社の垣根を超えた様々な世界の共演だ。まず主要登場人物として、バットマンが登場する。バットマンのみならずDCコミックスのジャスティスリーグの面々(スーパーマン、グリーンランタン、ワンダーウーマンなど)も登場する。他にもロード・オブ・ザ・リング、ハリーポッター、スターウォーズといった世界がごちゃ混ぜになっている。子供のとき、ウルトラマンと戦隊もののロボットを戦わせていたみたいな、あの感覚が蘇るのだ。子供はジャンルなんて考えない。本作品ではそれを見事に表現している。個人的には、バスケをやっていたので、ある選手のミニフィグが登場したときがツボだった。
とにかく皆に見て欲しいのよ!
ネタバレは極力したくないので、ストーリーの話はやめておこう。最後は爆笑しながら号泣するという異常事態に陥ったということだけ報告しておく。LEGOブロックで世界を創造するという本作品の挑戦は、同時にこの物語のテーマでもある。終盤は子供と一緒に見に来た大人へのメッセージとしか思えない内容だ。かつてブロックで遊んだことのある大人、今も何かを作っている大人、平凡な毎日を送っている大人、遊び方を忘れてしまった大人、そういった方々には、何か刺さるものがあるのではないだろうか。本作品は大人も子供も関係なく楽しめるし、学べる何かがある。フィル・ロード&クリストファー・ミラー監督もそうだけど、映画を作るって子供の遊びの延長みたいなもんなんだよなー。
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おすすめ!もし自分に子どもができたら一緒に見るんだ!
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こちらも超おすすめ!爆笑必須!アメリカでは大ヒットしたのに日本では未公開。続編「22ジャンプストリート」製作中。ちなみに主役のジョナ・ヒルとチャニング・テイタムは、「LEGO® ムービー」のなかでそれぞれグリーンランタンとスーパーマンを演じてます。二人の掛け合いが最高でした!
1月に見た映画の感想まとめ(家で見たやつ編)
ブログ初めておきながらこんなこと言うのもなんですが、長い文章書くの苦手!ということで、映画の感想は短いものを何本かまとめて載せることにしました。
1月に家で見たDVDなどの感想でございます。これも全部ではなく、特に気に入ったもののみなので実際はもうちょい見てます。
マジック・マイク
主演のチャニング・テイタムが、18歳の頃ストリッパーをしていたという実体験をもとに製作された映画。監督はスティーブン・ソダーバーグ。
チャニング・テイタムの裸とダンス、それだけでも見る価値あります!マシュー・マコノヒーも良いマッチョでしたね。ダンスはとにかく凄くて、チャニング・テイタムこんなに踊れるのかとびっくらこきました。
青春映画でもあるので好きなジャンルではあるんですが、なかなか感情移入できず、最後まで乗れなかったですね。なんというか、自分とはかけ離れた場所にいる人たちというか、俺ガリガリだし。裸祭り映画だと思えば楽しめるかと!
舟を編む
お正月、実家にて家族と鑑賞しました。良き邦画のお手本のような映画で、家族と観るのにうってつけでしたよ!
石井裕也監督は『川の底からこんにちは』のみ鑑賞したことがあり、私の大好きな作品でもあります。その石井裕也監督がこんなにも洗練された作品を作るようになったのか、と感動いたしました。
辞書作りが地道で、長く、険しいものであるということが、丁寧に描かれています。辞書に使う「紙」さえもあんなにこだわっているとは。改めて辞書を繰ってみたくなりました。
文部科学省の推薦映画として、学校で鑑賞すると良いのではないでしょうか。良い勉強にもなるし、日頃使っている辞書への感謝の気持ちが芽生え、「辞書重ぇーだりぃー帰りてー」なんて思っている昔の自分のような学生が気持ちを改めるのでは!ま、そういう学生は辞書を学校に置きっぱなしか、端から持っていかないでしょうけどね!
クラウド アトラス
デイヴィッド・ミッチェルの小説『クラウド アトラス』を映画化。監督はウォシャウスキー姉弟とトム・ティクヴァ。
場所、時代、登場人物の異なる6つの物語を同時進行で描くという複雑な手法で撮られています。そんなややこしい話がまとまるのかと不安でしたが、終わってみるとあら不思議、きわめて仏教的な思想に基づいた素晴らしい作品でした。手塚治虫の『火の鳥』のようだ、という感想を目にしましたが、確かに似ているところがあります。
また、主要キャストは複数の物語に人種や性別などが異なるキャラクターとして登場するという、本気なのかギャグなのかわからない離れ業までキメております。例えば、黒人のハル・ベリー(女)がアジア人の闇医者(老人、男)を演じるというような感じです。欧米人が韓国人役になるため特殊メイクした結果、宇宙人みたいになっていましたけどね。あれは韓国の方、さすがに怒っていいと思う。笑
壮大な物語を凝縮した、非常に見応えのある作品です。
バレット
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シルヴェスター・スタローン×サン・カンのバディものアクション。監督は男臭くて渋ーい映画でおなじみのウォルター・ヒル!
予備知識なしで見たのですが、まず驚いたのがスタローンの相棒役がサン・カンだったということ。サン・カンが演じるワイルド・スピードシリーズのハンが大好きだったので、その時点でテンションあがりまくり!
スタローンが強すぎてバディものとしては少し弱く感じるものの、さすがウォルター・ヒル監督、80年代テイストの硬派なアクション映画に仕上げています。俺達の見たいスタローンがぎっしり詰まっている。セリフがいちいちかっこいい。「おととい来やがれ!」があんなに似合う役者は他にいません。吹替おすすめ!
最後の決闘。悪役が銃を捨て「拳で殴り合いか!くー!」と思っていたら、まさかの"斧" VS "斧"。斧!大興奮!
80年代アクションを見事に甦らせた傑作です。
クソすばらしいこの世界
韓国映画『息もできない』のキム・コッピをヒロインに迎えたホラー映画。朝倉加葉子監督の長編デビュー作。韓国人留学生と日本人留学生がアメリカの田舎にある別荘へ。そこには狂った住民がいて・・・。というスプラッター映画の王道をいくストーリー展開。
アバンタイトル数分間の惨殺シーンから、監督のセンスの良さをビンビンに感じました。昨今の邦画スプラッターは、パロディ的要素の強いもの(ぶしゃーと派手に血しぶきを上げてみせるなど)が多いと思いますが、本作では真正面から痛ーいスプラッターに挑戦しています。ほんとに痛そうで目を背けたくなるくらい。てか背けました。
キム・コッピが演じる韓国人留学生と日本人留学生の間で言葉が通じないディスコミュニケーションが描かれているのが印象的。
中盤で突拍子もない、非常に斬新な展開に発展していくのが素晴らしかった。ネタバレになっちゃうから言えないませんが。。
朝倉加葉子監督、今後の活躍を大いに期待しております。