迷子の衝動

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映画感想:「22 ジャンプストリート」

ふぅぅううううううううう!!!!今年観た映画が全部吹き飛んでしまうくらいゴキゲンな映画を観たぜええええええ!!!!まだ3月だけどねえええええええ!!!!!

はい、ということで22ジャンプストリートの感想でございます。

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22ジャンプストリート予告編 (非公式日本語字幕) - YouTube

 

待ちに待った、超待った続編

アメリカでは2014年6月に公開され、コメディとしては空前の大ヒットを記録した本作。しかしアメリカン・コメディを冷遇する我が国では全く上映する気配ナッシング。安定のDVDスルーなのでした。誰が決めているのか分からないが、こんなにヒットした映画が日本だけ上映されないと、取り残されてる気がして本当に悲しい。「ヒックとドラゴン2」未公開問題もしかり、ほんとマーケティングなんてファック・オフだな、と思う今日この頃でございます。

本作は「21ジャンプストリート」の続編。監督はフィル・ロード&クリストファー・ミラー。アニメ映画「くもりときどきミートボール」で大ヒットを飛ばした後、実写の「21ジャンプストリート」に挑戦してそっちも見事大成功。その後も「LEGOムービー」「22ジャンプストリート」と、もはや大ヒットしか産み出していないコンビといえる。監督の手腕は「LEGOムービー」の感想の中でも触れたので、詳しくはそちらをご覧いただきたい。簡単に作風を説明するならば「おもちゃ箱をひっくり返したような超ハイテンションドラッグムービー」とでも言いましょうかね!

映画という「おもちゃ」を遊び尽くせ!

あらすじを雑に説明するならば「ヤクの売人を捕まえるために大学に潜入捜査☆」以上。前作は高校が舞台で、本作ではそれが大学になっただけ。展開もほとんど同じである。アカデミー賞授賞式においてジャック・ブラックが「続編にリメイク、ありきたりな脚本ばかり」と皮肉たっぷりのジョークを歌っていたが、そんなヤジをせせら笑うかのように監督はあえて前作のストーリーをなぞってみせた。たとえ続編でも、ストーリーが同じでも、映画とはこんなにも自由で、いくらでも面白くなる物なのだ、ということを見事に証明してみせた。

LEGOムービー」鑑賞後に確信したのは、監督が映画という「おもちゃ」を遊び尽くしているということ。今回は「続編」という「おもちゃ」を手にし、組み立ててはぶち壊しながら映画を遊び尽くしている。アドリブが非常に多く、同じ場面を違う台詞で何度も撮り直していることからもその遊びっぷりがうかがえる。ブライアン・デ・パルマの伝家の宝刀「スプリットスクリーン」でさえ、彼らの手にかかれば「おもちゃ」なのだ。彼らに任せる限り「ジャンプストリート」シリーズは無限に続いたって面白くなる気がしてくる。筆者は007並みのシリーズになってほしいと密かに願っている。

ブロマンティックが止まらない

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本作の魅力はやはりジョナ・ヒルチャニング・テイタムのコンビだろう。ブロマンス(男同士できゃっきゃする)コメディが好きでいろいろ見てきたが、トップクラスの名コンビだ。ロシア版のタイトルは「マッチョとナード」というらしいが、そのタイトル通り、ジョナ・ヒルは童貞くさいナード、チャニング・テイタムは体育会系筋肉バカのマッチョを演じ、学校内における超凸凹コンビが誕生した。

本作ではそのブロマンスっぷりが行き着くところまで行ってしまい、もはや恋人や夫婦の域だ。大学での新生活、親友同士で入学したはずなのに相方には他に気の合う友達ができてしまい、嫉妬心に駆られる。これはよくある話だし前作とも同じ展開だが、本作ではその喪失感の描き方が「失恋」そのものである。すれ違う2人、失って初めて気づくお互いの大切さ・・・て、もうこれ恋愛映画じゃねーか!暴走するブロマンティックは誰にも止められないのだ!

強烈すぎる脇役達

前作から大きく飛躍した点として脇役の面白さが格段に上がっていることを挙げたい。特筆したいのはアイス・キューブ兄貴だ。

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前作から引き続き、主人公2人の鬼上司として登場する。「Fuck tha Police」なんてラップしてた人が警官役ってだけでもちょっと面白いが、ヒップホップ界きっての強面を活かしたキレ芸っぷりが最高にはまっている。前作がよほど好評だったのか、本作では出番が格段に増え、キレ芸にもより磨きがかかっている。文字通り大暴れする場面があるので心して鑑賞してほしい。

もちろん新キャラもさいこー。寮の隣部屋に住む双子を演じたルーカス・ブラザーズのお二人。「ツイーーンズ」の掛け合いが最高でした。

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本作一番の超新星、ジリアン・ベル!素晴らしいコメディエンヌでした。ジョナ・ヒルとの掛け合いは抱腹絶倒!

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とにかく面白いやつしか出てこないし、面白いことしか起きない!

安定のトリップ感覚

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フィル・ロード&クリストファー・ミラー作品で個人的に一番楽しみにしているのはドラッギーな映像世界だ。毎回必ず(子供向けアニメでも容赦なく)ぶっ飛んだトリップ映像をぶっこんでくる。本作でも例外なく最高な(そしてふざけすぎた)トリップ映像を見せてくれた。異常なハイテンションが続く彼らの作品は、全編通してトリップ映像とも言えるだろう。本作終盤ではスプリングブレイクの狂騒と相まって、得も言われぬ高揚感を与えてくれた。

マーク・マザーズボー(Devo)のいかれた電子音楽も、フィル・ロード&クリストファー・ミラー作品を支える重要な要素だ。筆者の勝手な推測に過ぎないが、おそらく彼らはDevoの大ファンだと思う。特典映像ではDevoリスペクトな未公開シーンが収録されているのでこちらも必見。

筆者は映画を観る行為そのものが「トリップ」だと思っている。フィル・ロード&クリストファー・ミラーは、それを明け透けに表現してくれる。だからこそ彼らの作品が大好きなのだ!

 

 

 

ちなみにジョニー・デップ主演のドラマ版は見たことない!